介護保険被保険者証の写しを渡す・受け取るとき — 被保険者番号のマスキング
先に結論
介護保険の被保険者証を本人確認や助成金の申請で出すときは、保険者番号と被保険者番号を確認し、提出先の案内に沿って番号部分をマスキングします。介護保険にも、医療保険と同じように番号の告知を求めることを制限する規定があります。
- 根拠は介護保険法 第 201 条の 2:健康保険法 第 194 条の 2 ではなく、介護保険の事業や関連事務に必要な場合などを除いて番号等の告知を求めることを制限しています
- 厚生労働省の両立支援等助成金:2026 年度版の支給申請の手引きは、介護保険被保険者証を出すときに保険者番号及び被保険者等記号・番号部分をマスキングするよう求めています
- 犯収法の本人確認:JAFIC は、対象となる番号等の写しを復元できない程度にマスキングして確認記録に添付するよう案内しています
- 隠しすぎない:本人確認に使う氏名・住所・生年月日、要介護状態を確認する記載など、提出に必要な部分は読めるようにします
このページでは、条文の確認と、官公庁の案内がある提出場面に絞って整理します。個別の手続きでどこまで隠すかは、提出先の最新の案内や所管の官庁、専門家に確認してください。
介護保険法 第 201 条の 2
対象は保険者番号と被保険者番号
介護保険法 第 201 条の 2 は「被保険者番号等の利用制限等」という見出しの規定です。対象となる番号等を「保険者番号(厚生労働大臣が介護保険事業において市町村を識別するための番号として、市町村ごとに定めるものをいう。)及び被保険者番号(市町村が被保険者の資格を管理するための番号として、被保険者ごとに定めるものをいう。)」と定めています。
被保険者番号は市町村が被保険者ごとに定める番号、保険者番号は市町村を識別する番号です。被保険者本人の番号だけを隠して、保険者番号を残さないように、両方の位置を確認します。
第 1 項・第 2 項:事業や関連事務に必要な場合を除く
第 1 項は、介護保険事業や関連する事務のため被保険者番号等を利用する者として厚生労働省令で定める者について、事業や事務の遂行に必要な場合を除き、告知を求めてはならないとしています。第 2 項は、それ以外の者についても、厚生労働省令で定める特に必要な場合を除いて同じ制限を定めています。
第 3 項:契約の申込みなどでも告知を求められない
第 3 項は、業として行う行為に関する売買・貸借・雇用などの契約の申込みや締結の場面について、第 1 項・第 2 項の場合を除いて告知を求めることを制限しています。条文の結びは「当該者又は当該者以外の者に係る被保険者番号等を告知することを求めてはならない。」です。
この規定は、介護保険被保険者証の提示そのものを禁じるものではありません。本人確認のために提示や写しを求める場面で、番号を書き写したり、番号が読める写しを取得したりすることを避けるための決まりです。
厚生労働省の助成金に出すとき
介護離職防止支援コースの添付書類
厚生労働省の「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和 8)年度版)」は、対象労働者の家族が要介護状態であることが確認できる書類として、介護保険被保険者証や医師等が交付する証明書類を挙げています。
そして、介護保険被保険者証を提出する場合は「予め保険者番号及び被保険者等記号・番号部分にマスキングを施して提出してください。」と書いています。番号の指定があるので、提出する側がマスキングしてから出す場面です。
同じ手引きは、要介護認定が支給申請時までに出ていない場合に、自治体あてに提出した介護認定に係る申請書類などでも構わないとしています。手元の被保険者証を出すのか、別の証明書類を使うのかも含めて、申請に必要なものを確認します。
最新の手引きで確認する
助成金の様式や支給要領は年度ごとに変わります。厚生労働省の「子ども・子育て両立支援等助成金のご案内」には 2026 年度の手引きと様式が掲載されています。過去に使った写しや古い手引きをそのまま使わず、今回の申請に対応する版を確認してください。
日本年金機構の本人確認で出すとき
身元(実存)確認の書類として使う場合
日本年金機構の「マイナンバー法に基づく本人確認措置について」は、介護保険被保険者証を、ほかの書類と組み合わせて使う身元(実存)確認書類の一つに挙げています。
備考では、資格確認書、介護保険被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳の写しを添付する場合について、「資格確認書等に記載された保険者番号及び記号・番号等(QRコードを含む)を判別、復元できないようマスキング(黒塗り等)する。」と定めています。
対象には QR コードも含まれます。目に見える番号だけを隠して終わりにせず、被保険者証に QR コードがあるか、読み取ると番号等が分かるものかを確認します。
犯収法の本人確認で写しを添付するとき
本人確認書類に介護保険被保険者証が含まれる
犯罪収益移転防止法施行規則 第 7 条第 1 号ハは、氏名・住居・生年月日の記載があるものに限り、介護保険の被保険者証を本人確認書類として挙げています。JAFIC の「犯罪収益移転防止法の概要」(令和 8 年 8 月 7 日時点)の確認記録の様式の説明でも、介護保険の被保険者証は資格確認書等に含まれています。
番号等は復元できない程度に隠す
JAFIC の資料は、番号等の収集や告知の要求が禁止されている本人確認書類の写しを取るときは「当該写しの番号等部分を復元できない程度にマスキングを施した上で当該写しを確認記録に添付するようにしてください。」と案内しています。
送付を受ける場合は、あらかじめ顧客に番号等をマスキングしてもらい、隠れていない写しが届いたら受け取った側で復元できない程度に隠して添付します。確認記録の記号番号欄にも被保険者証等記号・番号等を記入せず、交付年月日等を記入する案内です。
添付した写しは確認記録の一部
施行規則 第 19 条第 1 項第 2 号は、確認方法に応じて本人確認書類やその写しなどを確認記録に添付する方法を定め、第 2 項は「確認記録に添付した添付資料は、当該確認記録の一部とみなす。」としています。
番号を隠す案内がある一方で、番号以外の部分まで事業者の判断で消してよいとは書かれていません。本人特定事項の確認に必要な氏名・住居・生年月日は読めるようにして、所管の官庁の案内に従います。
隠す番号と残す項目
隠すもの
- 被保険者番号:市町村が被保険者ごとに定める番号
- 保険者番号:介護保険事業で市町村を識別する番号
- 番号等を読み取れる QR コード:日本年金機構の本人確認の案内では、判別・復元できないようにする対象に含まれる
番号の見出しや位置は実物で確認します。被保険者番号だけを隠して保険者番号を残す、画像では隠したのに PDF の文字の層には番号が残る、ということがないようにします。
残すもの
- 氏名・住所・生年月日:犯収法の本人確認書類としては記載が必要な項目です
- 要介護状態の確認に使う記載:助成金で被保険者証を使う場合は、提出先が何を読むかを確認します
- 交付年月日など:犯収法の確認記録では、番号ではなく交付年月日等を記録します
ただし、どの場面でも常に住所や生年月日を残すという意味ではありません。本人確認ではない社内共有などでは、目的に必要な項目から決めます。提出先が読む必要がある項目まで消すと、写しを受け付けてもらえないことがあります。
健康保険の資格確認書と混同しない
健康保険・国民健康保険などの資格確認書と、介護保険被保険者証では、根拠の条文と番号の名前が違います。健康保険の資格確認書の記号・番号・枝番・QR コードの扱いは 資格確認書(保険証)の写しの記号・番号・枝番はどう隠す? にまとめています。
消し方と手順のまとめ
紙と PDF で復元できない状態にする
紙の写しをペンで塗る場合は、薄さや裏写りで番号が読めないかを、もう一度コピー・スキャンした状態で確認します。原本の被保険者証には手を加えず、写しの側で作業します。
PDF に注釈や図形の黒い四角を重ねただけでは、文字の層がある PDF なら下の番号がファイルに残ります。スキャンした PDF には、画像の下に見えない文字認識の層があることもあります。画面で消すなら、下の文字ごと消す(焼き込み)方式を使います。消した PDF は 剥がしテスト(無料)で、黒い四角の下に文字が残っていないかを調べられます。
出す側の手順
- 提出先と目的を確認する:助成金、年金機構の本人確認、犯収法の確認など、どの手続きか
- 最新の案内を読む:必要な書類、マスキングの対象、ほかに必要な確認書類を確認する
- 原本とは別の写しを作る:保険者番号・被保険者番号・QR コードの位置を確認する
- 番号等を復元できない状態にする:透けや PDF の文字の層にも注意する
- 必要な項目が残っているかを見る:氏名・住所・生年月日、要介護状態の確認に使う記載
受け取る側の手順
- 案内を見直す:番号等の告知を求める表現にせず、先にマスキングしてもらうよう案内する
- 届いた写しを開いて確認する:番号等が隠れているか、確認に必要な項目が読めるかを見る
- 隠れていなければ受け取った側で隠す:JAFIC の案内に沿って復元できない程度にして確認記録に添付する
- 確認記録には番号を書かない:犯収法の様式では、番号ではなく交付年月日等を記録する
Fuseji で消す場合
Fuseji(伏字)は、日本語の PDF と画像(PNG・JPEG。Mac では HEIC も)から個人情報を候補として示し、選んだ部分を下の文字ごと焼き込むアプリです。候補ごとに消す・残すを選べ、候補に出ない番号や QR コードはページの上でドラッグして囲めます。書き出した直後に消した語が残っていないかを自動で確認し、原本のファイルは上書きしません。
検出は「候補の提示」で、漏れがないことを保証するものではありません。番号等が消えたことと、提出に必要な項目が残っていることの両方を、最後は画面で確認してください。
このページは、参考に挙げた法令と厚生労働省・警察庁・日本年金機構の資料の要点を整理したものです。個別の手続きで番号等が必要か、消した写しを受け付けるかは提出先が決めます。最新の案内を確認し、必要に応じて所管の官庁や専門家に相談してください。価格は 価格 にあります。
参考
- 介護保険法 第 201 条の 2(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第 7 条・第 19 条(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/420M60000F5A001
- 厚生労働省「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和 8)年度版)」:https://www.mhlw.go.jp/content/001716063.pdf
- 厚生労働省「子ども・子育て両立支援等助成金のご案内」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html
- 日本年金機構「マイナンバー法に基づく本人確認措置について」:https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/mynumber/yoshiki.files/honninkakunin.pdf
- 警察庁 JAFIC「犯罪収益移転防止法の概要」(令和 8 年 8 月 7 日時点):https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/hougaiyou20260807.pdf