年金手帳・基礎年金番号通知書の写しを渡すとき — 基礎年金番号は隠す?
先に結論
年金手帳、基礎年金番号通知書、日本年金機構が交付した通知書の写しを本人確認などで求められたとき、提出先が年金の手続きそのものか、ほかの目的の本人確認かで番号の扱いを分けます。
- 犯罪収益移転防止法の本人確認で写しを添付する場合:警察庁(JAFIC)は、国民年金手帳の番号等部分を復元できない程度にマスキングして確認記録に添付するよう案内しています
- 日本年金機構や市区町村への年金の届出で基礎年金番号が必要な場合:提出案内が番号を明らかにする書類を求めているので、自分で消してよいかを決める前に手続きを確認します
- 経営事項審査など個別の提出:窓口が消す番号を指定しています。その最新の案内に従い、必要な氏名などは残します
このページでは、写しを受け取る側と渡す側の両方について、法令と官公庁の案内が書いている場面に絞って整理します。個別の手続きは、提出先や所管の官庁の案内を確認してください。
番号が載っている書類
年金手帳・基礎年金番号通知書
日本年金機構の「国民年金保険料の学生納付特例制度」のページは、基礎年金番号で手続きする場合の書類として、「基礎年金番号通知書」または「年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類」を挙げています。
同じ機構の「マイナンバー法に基づく本人確認措置について」は、身元(実存)確認の書類の組合せとして、「基礎年金番号通知書、年金手帳」を挙げています。氏名・住所・生年月日を確かめる書類として使う場面でも、番号が一緒に写る書類です。
日本年金機構が交付した通知書
同じ資料には、「日本年金機構が交付した通知書(年金額改定通知書、年金振込通知書 等)」も挙がっています。年金手帳だけでなく、年金の額や振込みを知らせる通知の写しを求められることもあります。
どの書類でも、出す前に基礎年金番号の欄を探します。番号の欄がない書類や、ほかの届書の様式もあるため、書類の名前だけで判断せず、実物を確認します。
年金手帳は顔写真のない本人確認書類
JAFIC の「犯罪収益移転防止法の概要」(令和 8 年 8 月 7 日時点)は、国民年金手帳を顔写真のない本人確認書類として扱っています。犯収法の確認では、書類を提示するだけでなく、ほかの本人確認書類・補完書類や、取引関係文書の送付が必要になる場合があります。
つまり、番号を隠すだけで本人確認の手続きが終わるとは限りません。番号を残す・消すとは別に、提出先が求める確認方法を確認します。
基礎年金番号の利用制限
国民年金法 第 108 条の 4
国民年金法 第 108 条の 4 は「基礎年金番号の利用制限等」という見出しの規定です。同法 第 14 条の基礎年金番号について、住民基本台帳法 第 30 条の 37〜第 30 条の 39 を準用し、読替えを定めています。政府管掌年金事業や関連する事務に特に必要な場合を除いて、告知を求めることが制限される仕組みです。
JAFIC の資料も、本人確認書類の留意事項として「マイナンバー(個人番号)、基礎年金番号、被保険者記号・番号等の収集等をすること又は告知を求めることは他法令により禁止されています。」と書いています。
このため、事業者がほかの目的の本人確認のために年金手帳の提示を求めるときは、番号を書き写さない、写しでは番号部分を隠す、という扱いになります。一方、年金事業に必要な手続きまで一律に番号を消す話ではありません。
犯収法の本人確認で写しを添付するとき
写しを取る・送ってもらうときは番号を隠す
銀行、不動産業者、司法書士など、犯罪収益移転防止法の特定事業者が確認記録を作る場面です。JAFIC の資料は、国民年金手帳などの提示を受けるときに番号等を書き写さないことに加え、写しについて次のように案内しています。
「国民年金手帳及び国民健康保険等の資格確認書等にあっては当該写しの番号等部分を復元できない程度にマスキングを施した上で当該写しを確認記録に添付するようにしてください。」
写しの送付を受ける場合は、あらかじめ顧客に番号等へのマスキングを求め、隠れた写しを送ってもらいます。隠れていない写しが届いた場合も、受け取った側で復元できない程度にマスキングして確認記録に添付する案内です。
確認記録には基礎年金番号を書かない
同じ資料は、国民年金手帳を使った場合の確認記録の記載について、「基礎年金番号以外の事項(例えば、交付年月日等の国民年金手帳に記載されている事項)を記載することとなります。」としています。確認記録の様式の記号番号欄にも、年金番号を記入せず、交付年月日を記入する案内です。
写しの添付とマスキングの根拠は分けて読む
犯罪収益移転防止法施行規則 第 19 条第 1 項第 2 号は、本人特定事項の確認方法に応じて、送付を受けた本人確認書類やその写し、画像情報などを確認記録に添付する方法を定めています。第 2 項は「確認記録に添付した添付資料は、当該確認記録の一部とみなす。」と定めています。
つまり、確認記録に写しを添付する定めは施行規則、基礎年金番号を復元できない程度に隠す具体的な案内は JAFIC の資料にあります。番号以外の部分を事業者の判断で消してよいとは、ここでは扱いません。氏名・住居・生年月日など、本人特定事項の確認に必要な部分は読める状態にします。
年金の手続きで番号が要るとき
基礎年金番号で届け出る場合
日本年金機構の学生納付特例の案内では、基礎年金番号で手続きするか、マイナンバーで手続きするかによって必要な書類が分かれています。基礎年金番号で手続きする場合は、番号を明らかにできる書類が必要です。
このように、年金機構や市区町村への届出で番号そのものが手続きの情報になるときは、本人確認のために番号を隠す話と混同しません。提出先の様式と案内を確認し、求められた方法で提出します。
身元確認に年金の書類を使う場合
日本年金機構がマイナンバーの提供を受ける際の本人確認では、対面は原本、郵送は原本または写しで確認する案内があります。基礎年金番号通知書・年金手帳は、ほかの書類との組合せで身元(実存)確認に使える資料の一つです。
提出先が日本年金機構であっても、今回求められているのが番号確認か、身元確認か、年金の届出かで必要なものが違います。書類を送る前に、手続きのページの最新の添付書類一覧を確認してください。
経審・そのほかの提出先
経営事項審査の標準報酬決定通知書
建設業の経営事項審査では、雇用関係を確認する書類として標準報酬決定通知書の写しを出すことがあります。北陸地方整備局は、被保険者整理番号と基礎年金番号にマスキングするよう案内し、氏名は残して技術職員名簿の通番を書くよう求めています。
ただし、窓口によって消す番号の指定が違います。申請先の最新の手引きを確認してください。書類の様式、見落としやすい行、提出先ごとの違いは 経審に出す標準報酬決定通知書の写し にまとめています。
ほかの本人確認・社内共有
犯収法や年金の届出に当たらない相手に渡す場合も、相手がなぜ年金の書類を必要とするのかを確認します。氏名・住所・生年月日の確認が目的なら、番号の告知まで求められるかを尋ね、提出先の案内に沿って扱います。
写しを受け取る側は、申込みの案内に年金番号が記載された写しを求める表現がないかを見直します。社内で回す場合は、確認に必要な担当者と項目を絞り、名簿や通知書に並ぶ別の人の情報まで送らないようにします。
消し方と手順のまとめ
紙と PDF で復元できない状態にする
紙の写しをペンで塗る場合は、薄さや裏写りで番号が読めないかを、もう一度コピー・スキャンした状態で確認します。原本の年金手帳や通知書には手を加えず、写しの側で作業します。
PDF に注釈や図形の黒い四角を重ねただけでは、文字の層がある PDF なら下の番号がファイルに残ります。文字を選んでコピーすると読めることがあります。画面で消すなら、下の文字ごと消す(焼き込み)方式を使い、書き出したファイルを確認します。消した PDF は 剥がしテスト(無料)で、黒い四角の下に文字が残っていないかを調べられます。
出す側の手順
- 提出先と目的を確認する:年金の届出か、犯収法の本人確認か、経審など別の手続きか
- 番号が要るかを確認する:提出案内の添付書類と、マスキングの指定を読む
- 写しを作る:原本には手を加えず、基礎年金番号の位置を全ページで確認する
- 指定に沿って番号を隠す:復元できない方式で消し、氏名・住居・生年月日など必要な項目は残す
- 出す写しを検査する:透け、文字の選択・コピー、見えない文字の層を確認する
受け取る側の手順
- 案内を見直す:基礎年金番号の告知を求めるような説明にしない
- 届いた写しを確認する:番号が隠れているか、確認に必要な氏名などが読めるかを見る
- 犯収法の確認記録には番号を書かない:国民年金手帳は交付年月日等を記録する
- 隠れていない写しを扱う:JAFIC の案内に沿って、受け取った側で復元できない程度に隠して添付する
Fuseji で消す場合
Fuseji(伏字)は、日本語の PDF と画像から基礎年金番号、氏名・住所・生年月日などを候補として示し、選んだ部分を下の文字ごと焼き込むアプリです。候補ごとに消す・残すを選べるので、番号は消して氏名を残す作業ができます。候補に出ない欄はドラッグして囲めます。書き出した直後に消した語が残っていないかを自動で確認し、原本は変更せず別名で書き出します。
検出は「候補の提示」で、漏れがないことを保証するものではありません。最後は画面で、番号と残すべき項目の両方を確認してください。
このページは、参考に挙げた法令と警察庁・日本年金機構の資料の要点を整理したものです。個別の手続きで基礎年金番号が必要か、消した写しを受け付けるかは提出先が決めます。最新の案内を確認し、必要に応じて所管の官庁や専門家に相談してください。価格は 価格 にあります。
参考
- 国民年金法 第 108 条の 4(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第 19 条(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/420M60000F5A001
- 警察庁 JAFIC「犯罪収益移転防止法の概要」(令和 8 年 8 月 7 日時点):https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/hougaiyou20260807.pdf
- 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html
- 日本年金機構「マイナンバー法に基づく本人確認措置について」:https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/mynumber/yoshiki.files/honninkakunin.pdf