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マイナンバーが載った PDF を社外に渡す前に — 消し方と注意点

先に結論

マイナンバーが載った書類を社外に渡せるのは、法律で限定された場面に限られます。渡す必要があるかどうかの判断は、まず担当者と上司、必要なら所管の官庁や専門家に確認します。渡していい場面だと判断したあとも、(a) 専用の機能で番号の文字データを消すか、(b) ページ画像として作り直す(焼き込む)のどちらかで消したうえで、渡す直前に残存を確かめることの 2 点を外さないでください。

このページでは、まず法律の枠組みを確認し、消し忘れが起きやすい書類の型を並べたうえで、黒塗りで実際に起きている失敗、マイナンバーを「見分ける」ときの仕組み、一緒に消したい情報、最後に渡し前のチェックリストをまとめます。

マイナンバー(個人番号)は、行政手続きを効率化するために導入された 12 桁の番号です。番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)では、マイナンバーを含む個人情報(特定個人情報)の提供を原則として制限し、法律に定められた事務(社会保障・税・災害対策の各分野)または本人・国の機関等の例外にあたるときだけ、他者に提供できるとされています。

重要なのは、番号が書かれていること自体は禁じられていないということです。問題は、書いてはいけない相手に渡すこと、渡していい場面でも適切に管理されていない状態で渡すことです。給与計算の事務を委託している社労士、税の申告を扱う税理士、年金の届出を行う事務所などは、法律の要件を満たす範囲でマイナンバーを受け取りますが、それ以外の相手に渡すことは通常できません。

個別の場面が番号法のどの規定に当たるかは、個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」や、所管官庁の説明、顧問の弁護士・社会保険労務士に必ず確認するようにしてください。ガイドラインは版で更新されるため、参照時点の版番号を控えておくのが安全です。

消し忘れが起きやすい書類

マイナンバーは、番号そのものよりも、それが何の書類に載っているかで扱いが変わります。次の書類は、社内で回覧されることはあっても、社外に渡す前には番号の有無を確認すべきものです。

  • 税務署に出す源泉徴収票・給与支払報告書(本人と扶養家族の番号が載る。本人に渡す分の源泉徴収票には番号を記載しない取扱い)
  • 扶養控除等申告書(毎年提出)。配偶者や扶養家族のマイナンバーが含まれます
  • 給与支払報告書・総括表の控え
  • 本人確認書類の写し(マイナンバーカードの裏面、個人番号が記載された住民票の写し)
  • 個人番号を記載した住民票の写し(記載するかは請求時に選ぶ)
  • 年金関係の届出・申請の控え

上の書類は、PDF のどこかにマイナンバーが本文と一緒に記載されていることが多いです。番号は 1 箇所ではなく、家族の分も含む複数行・複数ページに渡って並ぶため、1 行だけ塗り潰しても全体では漏れになります。書類を選ぶときに、提出先の要件(番号を残すべきかどうか)を必ず確認し、不要なら番号を消します。

なお、具体的な番号の例示が必要な場面でも、架空の番号(例:「123456789012」のような見れば分かる並び)だけを使い、実在の人の番号や書類の記入例は画像に含めないようにしてください。説明資料を作る際、写しを掲載するときに番号部分を新しい数字で置き換えるのは、本物らしさよりも安全のために重要です。

黒塗りで起きる失敗

マイナンバーは桁数が固定の重要情報なので、剥がせる黒塗りの影響が他より大きくなります。よくある黒塗りの失敗 5 つの型で整理したとおり、黒い四角を重ねただけでは、中の文字はファイルに残ったままです。コピーすればそのまま出てくる、検索すればヒットする、添付ファイルやプロパティを見れば別に残っている、という動作は、マイナンバーでも同じように起きます。

とくに多いのが次のパターンです。

  • Word や PowerPoint で黒い四角を置いて PDF 化した(番号が文字列として残っている)
  • PDF ビューアの注釈(四角形やペン)で塗っただけ(下の文字は残っている)
  • スキャンした紙の書類を OCR して検索可能 PDF にしたあとで、画像にだけ黒塗りをした(OCR の文字層に番号が残っている)

黒い四角を重ねる方式は、画面の見た目には消えていても、ファイルを受け取った相手が調べれば読める状態です。確認方法・剥がしテストの節は 黒塗りが「見える」「剥がせる」原因と確かめ方 に詳しく書いてあります。

12 桁が全部マイナンバーではない

マイナンバーは 12 桁ですが、書類に並ぶ 12 桁の数字が全てマイナンバーとは限りません。例えば、銀行口座番号の一部、会員 ID、注文番号、シリアル番号なども 12 桁になることがあります。「12 桁だから全部消さなければ」と考えると、消さなくてよい数字まで大量に消すことになりかねません。

実際には、検査用の数字の計算方法が決められています。最後の 1 桁は、前の 11 桁から決まった計算で求める検査用の数字(チェックデジット)になっていて、この決まりに合わない 12 桁はマイナンバーではないと機械的に判定できます。Fuseji はこのチェックデジットを使い、本当にマイナンバーの形式に合っている 12 桁だけを候補として挙げます。

ただし、関係のない 12 桁の数字でも、偶然に検査用の数字が合うことがあります(おおよそ 10 個に 1 個)。だから候補は画面で確かめてください。最後には、「この番号は本当にマイナンバーを消しているのか」を文書ごと・目的ごとに確認する運用が要ります。

一緒に消したい情報

マイナンバーは多くの場合、他の個人情報と同じ書類に書かれています。番号だけを消して他を残すと、そこから個人が推定される可能性があります。次の情報は、マイナンバーを消す書類では併せて候補に挙げると安全です。

  • 氏名(本人・家族・役員・同居人)。ふりがな、旧姓、通称も含む
  • 住所(現住所・旧住所・ビル名・部屋番号まで)
  • 生年月日(年だけで個人を絞り込めることがある)
  • 電話番号
  • 口座番号(金融機関名・支店名・口座番号・名義)

これらの情報を一括で候補として探すには、自動検出が便利です。Fuseji はマイナンバーに加えて口座番号・住所・生年月日・電話番号なども日本語のモデルで探し、画面で残す/消すを切り替えられます。フォルダ単位で一括処理ができ、書き出しのたびに自動で検証レポートが残ります(プロ版以上の機能)。

渡し前のチェックリスト

最後に、社外に渡す直前に毎回通すチェックリストをまとめておきます。

  1. この書類をその相手に渡してよいかを番号法とガイドラインで再確認する(番号を残すべき書類/消すべき書類の区別)
  2. マイナンバーを消す。(a) 専用機能で番号の文字データを消す(Acrobat Pro の墨消し機能など)か、(b) ページ画像として作り直す(Fuseji で書き出す、印刷→スキャン)
  3. 一緒に消したい情報(氏名・住所・生年月日・電話・口座)も併せて消す
  4. スキャン画像しかない書類は Mac の OCR で読み取ってから同様に焼く。OCR の文字層が残っていないかもチェック
  5. プロパティ・しおり・添付ファイルを開いて余計な文字列がないかを確認する
  6. 消した語(氏名・番号)で検索し、ヒットしないことを確認する
  7. 可能なら 剥がしテスト にかけ、残存テキスト・見えない文字・注釈・添付・文書情報を一括で確認する
  8. 必要に応じて検証レポートを残す(有料版)

「焼く」と「確かめる」の 2 段を毎回踏むようにしておくと、こうした種類の事故はかなり防げます。Fuseji の詳細や、マイナンバーを扱う方むけの LP は マイナンバーを扱う方へ にまとめています。顧問の社会保険労務士・税理士・弁護士にも、番号法で許される場面か、渡す書類が職務の範囲かの 2 点を事前に確認しておくと安心です。

このページは番号法の解釈を断定することを目的とはしていません。個別の場面が番号法のどの規定に当たるか、最終的には個人情報保護委員会のガイドラインや、所管官庁の説明、専門家(弁護士・社会保険労務士・税理士)の見解を必ず確認してください。ガイドラインや書式は版で更新されるため、参照した版番号を控えておくのが安全です。