Fuseji伏字 ダウンロード

PDF を黒塗り(墨消し)する正しい方法 — 下の文字まで消すには

先に結論

PDF の「黒い四角で隠す」と「墨消し」は別ものです。黒い四角を置いただけでは、下の文字のデータが PDF の中に残ったままになるため、コピーや検索で簡単に読めてしまいます。本当に消すには、下の文字のデータそのものを消す必要があり、方法は大きく 2 つに分かれます。

  • (a) 専用の墨消し機能で、文字そのものを削除する。Adobe Acrobat Pro などに備わる墨消し機能は、選択した範囲の文字データを消し、文書情報やメタデータと合わせて整える
  • (b) ページを画像として作り直す(焼き込み)。Mac の Fuseji で書き出す、印刷した紙にマーカーで塗ってスキャンする、のいずれかで、ページ上の文字を画像に変換してしまう

この 2 つのどちらでもない「黒い四角で隠しただけ」の状態は、見た目は消えていても、ファイルを受け取った第三者が調べれば読める、ということを意味します。公的資料や依頼者の情報を扱う場面では、見た目の黒さと実際の消え方の差が問題になります。

このページの後半では、上の (a)・(b) それぞれの代表例として Acrobat Pro、プレビュー、Fuseji、印刷してスキャン、を順に見ていきます。最後に、消したあとに自分で確かめる手順と、何十ページもある PDF への向き合い方をまとめます。

黒い四角だけでは消えない理由

PDF はページの上で文字・図形・画像・注釈を重ねたものです。文字はページのどこかに座標付きで格納されていて、その上に四角形を置いても、塗りの下にある文字のデータはそのまま残ります。

具体的には次のようなことが起こります。

  • 黒い四角の上で「すべて選択」や「コピー」を選ぶと、見た目には隠れていた文字列がコピーされます。
  • PDF ビューアの検索機能(⌘F / Ctrl+F)で、四角に重なっていた語がヒットします。
  • 四角をドラッグして別の位置へ動かすと、中の文字が読めます。
  • 編集ソフトで塗りの図形を削除すると、中身が復活します。

これは隠しているのではなく「色を塗っているだけ」です。渡す相手には見えないだけで、ファイルを受け取った第三者が調べれば読める、ということです。公的資料や依頼者の情報を扱う場面では、この差が問題になります。

手元の道具で消す

下の文字もまとめて消すには、上の (a)「専用機能で文字を消す」か (b)「ページを画像化して作り直す」のどちらかが必要です。ここでは、よく使われている 4 つの方法を、できることと注意点を整理します。

Adobe Acrobat Pro の墨消し機能

Acrobat Pro の「墨消し」は、専用の機能で文字そのものを削除する方式(上の (a))です。選択した範囲の文字データが PDF から消え、注釈・添付ファイル・フォームの初期値などの整理と合わせて、保存ファイルからはその文字が読めなくなります。

注意点は次の 2 つです。1 つは、墨消しは指定した範囲だけが対象になることです。文書情報や隠れた情報は、「墨消し」と併せて、非表示の情報を削除する機能(サニタイズ)を使う必要があります。もう 1 つは、「墨消しを適用」を押すまで確定しないことです。適用せず保存すると、塗りの下にまだ文字が残ります。Acrobat のメニューや画面名は版で変わるので、詳しくは公式の説明を確認してください。

macOS のプレビュー

macOS のプレビューは版によって塗りつぶしの機能がありますが、いずれも四角形の注釈(シェイプ)で塗る仕組みで、見た目は隠れても PDF 内の文字データはそのまま残ります。プレビューの機能は macOS の版で違うので、塗ったあと必ず「すべて選択 → コピー」で文字が抜き出せないか確かめてください。

Word などで四角を置いてから PDF にする

Word や Pages で黒い四角を置いてから PDF に書き出す方法はよく見かけますが、これは避けるのが無難です。Word の文書構造の上に図形を置いているだけなので、PDF に変換したあとも四角の下の文字がテキストとして残り、コピーや検索ができてしまいます。Acrobat で同じファイルを後から焼ける場合は、いったん Word で消したい文字を削除してから PDF にし、Acrobat 側で適用するのが安全です。

印刷して手で塗ってスキャン

(b) の方法のうち昔からあるのが、紙に印刷して黒いマーカーで塗り、もう一度スキャンして PDF にするやり方です。焼く工程を物理的に経るので、原理的にはあとから文字がファイル内に戻ることはありません。

ただし、裏写りに注意してください。薄い紙や両面印刷の書類だと、マーカーで塗った裏からうっすら見えることがあります。スキャン時に白黒 2 値で 300dpi 以上にし、塗り残しのチェックを必ず行います。手作業のため時間はかかりますが、機密性の高い 1 枚ものを扱うときには有力な選択肢です。

消したあとに確かめる

焼いたあとは、PDF を受け取った相手が同様の手順を踏むことを想定して、以下の点を確認します。

  • そのページで「すべて選択」をして、別の場所に貼り付けてみてください。塗りの下にあったはずの文字列が出てこないことを確認します。
  • 検索(⌘F / Ctrl+F)で、消した語(氏名・住所・電話番号など)を探します。ヒットしないことが期待値です。
  • 「ファイル」→「プロパティ」や「文書プロパティ」で、作成者・タイトル・件名などのメタデータに余計な情報がないかを確認します。Word の作成者名がそのまま残っていることはよくあります。
  • しおり・添付ファイル・フォームフィールドなど、レイヤーとは別にページに含まれる要素も、目視とプロパティ画面の両方で確認します。

目は疲れますし、漏れは起きます。無料で使える方法のひとつが、Mac で動かしている Fuseji の「剥がしテスト」です。これは Fuseji に入っている機能で、Fuseji をダウンロードして「剥がしテスト」を開くと、そこに放り込んだ PDF について残存テキスト・見えない文字・添付ファイル・文書情報を一括で調べられます。Acrobat を持っていない方や、別の目で確認したいときに向いています。

墨消しの前に決めること

よくある見落としは、「どこを消すか」を決めずに作業に入ることです。次の 5 つは、始める前にリスト化しておくと作業が早くなります。

  1. 氏名(依頼者・第三者・旧姓・ふりがな)。同じ文書内に同名がいるかは要確認
  2. 住所(現住所・旧住所・ビル名・部屋番号)
  3. 電話・メール・FAX
  4. 口座情報(銀行名・支店・口座番号・名義)
  5. マイナンバー・免許証番号・保険証番号・クレカの番号など、桁数の決まった公的 ID

特にヘッダー・フッター・ページ番号の周辺、表の中、スキャン画像の中は見落としがちです。自動の検出だけに頼らず、目視と組み合わせて確認します。1 ページずつ確認済みの印を付けて進めると、あとからどのページを見直したかが一目で分かります。

何十ページ・何十件を扱うとき

1〜2 枚を手で塗るぶんには Acrobat やプレビューで足ります。問題は、似た形式の PDF が何十件も積まれていて、それぞれに氏名・住所が並んでいるという状況です。代表的なのは、給与計算の年末調整、顧問先の会計資料、医療の問診票や同意書、士業が扱う大量の委任状や陳述書などです。

この規模で効いてくるのは、「日本語の姓名・地名・語彙を精度よく候補として挙げ、一括で消せる」道具です。Fuseji はその用途を前提に作っています。日本語の機械学習モデルで氏名・住所などを拾い、画面で残すもの・消すものを選べば、フォルダ単位で一括処理ができます(プロ版以上の機能)。書き出しは (b) の「ページ画像で作り直す」(焼き込み)のため、下の文字は残りません。文書・画像・検出結果はすべて Mac の中だけで処理され、外部には送りません。

詳しくは 価格 または ダウンロード をどうぞ。無料版は書き出したファイルに透かしが入りますが、自動検出と剥がしテストはずっと使えます。

Acrobat と Fuseji のどちらで焼く場合でも、「適用」を押してから保存することと、保存後に残存を確かめることの 2 段を外さないようにしてください。焼くこと自体は難しくありませんが、この 2 段を忘れたケースが過去に報告されています。