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Word・Excel・PowerPoint で黒い四角を重ねて PDF にすると、下の文字が残る理由と確かめ方

先に結論

報告書や名簿を Word・Excel・PowerPoint で作り、氏名や番号の上に黒い四角(図形)を置いてから PDF にして渡す。手元の道具だけでできるやり方です。

ただ、図形は文字の上に重ねた別の部品で、下の文字を消すものではありません。PDF にしても、文字の情報を持つ PDF には下の文字が残ることがあり、文字を選んでコピーしたり検索したりすると、隠したはずの名前が読めてしまいます。

  • 隠すのでなく、消す:PDF にする前に、Office の文書の中で文字そのものを消すか、「■」などに置き換える
  • 見えない情報も片付ける:変更履歴・コメント・文書のプロパティ・非表示の行やシート・スライドの外の部品などは、Microsoft の「ドキュメント検査」で調べられる。ただし、図形に覆われた部品は検査でも見つからない
  • PDF にしたあとで確かめる:渡すのは PDF なので、最後は PDF そのものを調べる

何を消すべきかは、書類と渡す相手によって変わります。個別の判断に迷うときは、担当部署や専門家に確認してください。PDF の黒塗り全般の考え方は PDF を黒塗り(墨消し)する正しい方法 に、失敗の型の一覧は 黒塗りが「見える」「剥がせる」原因と、渡す前の確かめ方 にまとめています。このページは「Office で作って PDF にする」場面に絞った説明です。

図形で隠しても、下の文字は消えていない

見た目が黒いことと、文字が無いことは別

Word の本文や Excel のセル、PowerPoint のテキスト ボックスに入っている文字は、文書の中のデータです。その上に図形を置くと、画面や印刷では図形が手前に描かれるので、下の文字は見えなくなります。しかし、文字のデータはそのまま文書の中にあります。見えなくなったのは、手前に別の部品が描かれているからです。

PDF も、文字の情報と図形を別々に持つことができる形式です。文字の情報を持つ PDF の中で「文字の上に黒い四角が乗っている」だけの状態になっていれば、PDF を開いた人が文字を選んでコピーすると、黒い四角の下の文字が貼り付けられます。Office からどう書き出されるかについて、Microsoft の説明は図形の下の文字の扱いを書いていません。「自分の環境では大丈夫なはず」と考えずに、出来上がった PDF を確かめるのが確実です(確かめ方)。

ドキュメント検査でも、覆われた部品は見つからない

Microsoft は、共有する前に文書の中の非表示のデータや個人情報を探して削除する機能として「ドキュメント検査」を案内しています。ただし、その説明には、図形で覆った部分についての注意がそれぞれの製品ごとに書かれています。

  • Word:「このインスペクターは、他のオブジェクトに覆われているオブジェクトを検出できません。」
  • Excel:「ドキュメント検査は、他のオブジェクトに覆われているオブジェクトを検出しません。」
  • PowerPoint:「この検査モジュールでは、他のオブジェクトが重なって見えなくなっているオブジェクトは検出されません。」

Word の隠し文字の検査についても、「このインスペクターでは、他の方法では非表示にされたテキスト (たとえば、白地に白いテキスト) を検出できません。」と注記しています。つまり、黒い四角で覆う・文字を白くする、といった「見た目で隠す」方法は、ドキュメント検査を通しても見つからないまま残ります。

PDF にしても「編集できないファイル」にはならない

PDF にすれば中身はいじれない、と考えがちですが、Microsoft の「PDF または XPS に保存または変換する」の説明は、「Microsoft Word を含む多くのプログラムには、PDF ファイルを開いて編集する機能があります。」としたうえで、「PDF として共有するだけでは、受信者がファイルを編集できないことを保証するには不十分です。」と書いています。PDF にしても、中の文字が消えるわけではありません。

図形のほかに、Office の文書に残りやすいもの

Office の文書には、画面に出ない情報も入っていることがあります。Microsoft のドキュメント検査の説明から、主なものを挙げます。

Word

  • 変更履歴・コメント・インク注釈:説明によると、共同で作った文書にはこれらが含まれることがあり、文書に手を加えた人の名前や校閲者のコメント、文書に加えられた変更をほかの人が確認できます
  • ドキュメントのプロパティ:作成者・件名・タイトルのほか、最後にドキュメントを保存したユーザーの名前や作成日など、自動で管理される情報も含まれます
  • ヘッダー・フッター・透かし、隠し文字として書式設定した文字

Excel

  • 非表示の行・列・ワークシート:説明は「非表示の行、列、またはワークシートを含むブックのコピーを配布する場合は、他のユーザーがこれらの行、列、またはワークシートを再表示すると入力されているデータを見ることができます。」と書いています。PDF と一緒に元の Excel のファイルを渡す場面では特に注意が要ります
  • コメント・ドキュメントのプロパティ・ヘッダーとフッター
  • 外部リンク・埋め込みのファイル・ピボットテーブルのキャッシュなど、ドキュメント検査が見つけても自動では削除しない項目(ブックが正しく動かなくなるおそれがあるため。説明は、手で削除するか静的な画像などに置き換えるよう書いています)

PowerPoint

  • スライドの外の部品:説明によると、スライドからはみ出した領域にドラッグされたテキスト ボックスや画像は、すぐには表示されないことがあります
  • ノート:発表者のために書いたノートには、公開したくない可能性のあるテキストが含まれている場合がある、と説明は書いています
  • 非表示に設定した部品、コメント、ドキュメントのプロパティ

トリミングした画像

写真やスクリーンショットの一部を「トリミング」で切ったつもりでも、Microsoft の「Office で図をトリミングする」の説明は、「画像のトリミングされた部分はファイルから削除されず、他の人に見られる可能性があります。」と書いています。トリミングした範囲に機密情報がある場合は、[図の圧縮] の [図のトリミング部分を削除する] でその部分を削除してから保存するよう案内しています。PDF にしたときにトリミングの外側がどう扱われるかは、この説明には書かれていません。

PDF にするときの設定

Microsoft の「PDF または XPS に保存または変換する」の説明によると、Word で PDF として保存するときは、[オプション] で PDF の中身を選べます。黒塗りに関係するのは次の 2 つです。

  • 発行対象:変更履歴を PDF に含めるには [変更とコメントの内容を含む文書] を選ぶ、と説明されています。渡す PDF に変更履歴が要らなければ、こちらを選ばないようにします
  • 文書プロパティ:説明は「PDF に文書プロパティを含める場合は、[文書プロパティ] が選択されていることを確認します。」と書いています。作成者などを PDF に持ち込みたくないときは、この項目を確かめます

Excel と PowerPoint でも、[オプション] で変更履歴を印刷するかどうかなどを選ぶ、と説明されています。項目の名前や場所は版によって違います。

なお、これらの設定で外せるのは変更履歴やプロパティです。説明にある設定の中に、図形の下の文字を消すものはありません。消すのは、次の節のとおり PDF にする前の文書の中です。

Office の文書から消すときの手順

  1. 元の文書のコピーを作る:[名前を付けて保存] で別名のコピーを作り、以降の作業はコピーで行います。Microsoft もドキュメント検査について、削除したデータは必ずしも復元できるとは限らないため、元の文書のコピーで使うことを強く勧めています
  2. 変更履歴を片付ける:Microsoft の説明では、変更履歴からは文書に加えられた変更をほかの人が確認できます。消す作業の前に、残っている変更履歴を反映するか元に戻すかを決め、消す作業そのものが変更履歴として残っていないかも確かめます
  3. 文字そのものを消す:氏名や番号を削除するか、「■■■■」「(氏名)」のような置き換えの文字にします。黒い四角が見た目のうえで必要なら、文字を消したあとに置きます。表の中、ヘッダー・フッター、テキスト ボックス、グラフのタイトル、ファイル名に入っている名前も見落としやすい場所です
  4. 画面に出ない場所を見る:Excel の非表示の行・列・シートは再表示して中身を確かめる。PowerPoint はスライドの外とノートを見る。トリミングした画像はトリミング部分を削除する
  5. ドキュメント検査を使う:Microsoft の説明では、[ファイル] → [情報] → [問題のチェック] → [ドキュメントの検査] の順に開きます。この説明の対象の製品の一覧に Mac 版は挙がっていないので、Mac 版で使えるかはお使いの版の説明を確認してください。覆われた部品と白い文字は検査で見つからないことは、上の節のとおりです
  6. PDF にする:[オプション] で変更履歴と文書プロパティを確かめてから保存します
  7. 出来上がった PDF を確かめる:次の節の方法で調べます

文書の作りが複雑で、どこに名前が残っているか追いきれないときは、いったん PDF にしてから、PDF の上で下の文字ごと消す(焼き込み)道具を使う方法もあります。紙に印刷してペンで塗り、スキャンし直す方法もありますが、塗りが薄いと下の文字が透けることがあります(スキャンした PDF の黒塗り)。

PDF にしたあとに確かめる

手でできること

  1. 全部選んでコピーする:PDF の文字をすべて選び、メモ帳などに貼り付けて、消したはずの名前や番号が出てこないかを見る
  2. 検索する:消したはずの氏名・番号で検索し、見つからないことを確かめる
  3. 文書のプロパティを開く:作成者・タイトルに余計な名前が入っていないかを見る

ただし、白い文字やとても小さい文字は、目で拾いにくいことがあります。

剥がしテストで調べる

Fuseji のサイトの ブラウザで剥がしテスト は、PDF を選ぶだけで、黒い四角の下の文字、白い文字・とても小さい文字・ページの外に置かれた文字、注釈で重ねただけの黒塗り、作成者などの文書情報・しおり・添付ファイル・編集前の版の履歴を調べます。検査はブラウザの中だけで行い、PDF はページの外に送りません。どの道具で黒塗りしたかは問わず、PDF になったあとの状態を見るので、Word・Excel・PowerPoint で作った PDF にもそのまま使えます。紙をスキャンした PDF のように、ページが画像になっているものの中の文字は、ブラウザ版では調べていません。

見つかったときは、その PDF の上から黒く塗り直さないでください。同じ失敗を重ねることになります。上の手順に戻って元の文書から消し直すか、下の文字ごと消す方式で作り直してから、もう一度確かめます。剥がしテストの説明は 剥がしテスト にあります。

Fuseji で消す場合

Fuseji(伏字)は、PDF と画像から日本語の個人情報を候補として示し、選んだ部分を下の文字ごと焼き込むアプリです。書き出した直後に、消した語が残っていないかを自動で確かめます。原本のファイルは上書きしません。Word や Excel のファイルを直接読み込むことは今はできないので、PDF にしてから読み込んでください。

検出は「候補の提示」で、漏れがないことを保証するものではありません。最終的な確認は画面で行ってください。検出・確認・書き出し・剥がしテストは無料版でもずっと使えます(無料版は書き出したファイルに透かしが入ります)。ダウンロード から試せます。

このページは、参考に挙げた Microsoft の公式サポートの説明の要点を整理したものです。画面の項目や機能は製品と版によって変わるので、お使いの版の公式の説明を確認してください。何を消すべきかの個別の判断は、担当部署や専門家に確認してください。価格は 価格 にあります。

参考