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経審に出す標準報酬決定通知書の写し — 被保険者整理番号と基礎年金番号のマスキング

先に結論

経営事項審査(経審)では、技術職員との雇用関係を確かめる書類として、健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書の写しを出すことがあります。このとき、通知書に載っている番号の一部を消して出すよう、審査をする窓口が案内しています。

  • 国土交通省 北陸地方整備局は、①被保険者整理番号 ②基礎年金番号 にマスキングをするよう案内しています。
  • 群馬県は、標準報酬決定通知書の被保険者整理番号と、住民税特別徴収税額通知書(電子による通知のみ)の個人番号(マイナンバー)をマスキングするよう案内しています。
  • 一方で、北陸地方整備局の提出書類一覧表は、通知書の氏名の右側の余白に技術職員名簿の通番を書くよう求めています。氏名は消さずに残す書類です。

つまり、決められた番号だけを消し、審査に要る氏名などは残す、という作業になります。消す番号の範囲は窓口によって書き方が違うので、申請先の最新の手引きを確かめてから作業してください。

健康保険の資格確認書(旧・保険証)の写しの記号・番号の扱いは、保険証の写しの記号・番号はどう隠す? にまとめています。

経審で通知書の写しを出す場面

技術職員との「恒常的雇用関係」の確認

北陸地方整備局の「経営事項審査の提出書類一覧表」(令和 8 年 7 月 1 日以降の申請に適用)は、技術職員名簿に載せた人との恒常的な雇用関係を確かめる書類として、「健康保険及び厚生年金保険に係る標準報酬決定通知書」を挙げています。確認書類は「すべて写しで可」とされています。

同じ欄の留意事項には、「同通知書は、下記リンクを参照しマスキングすること」とあり、リンク先が後で紹介するマスキングの案内です。

氏名の横に通番を書く

同じ一覧表は、留意事項として「標準報酬決定通知書記載の氏名の右側余白に技術職員名簿の通番を記入すること」と書いています。記入例は、技術職員名簿 3 頁の通番 17 の人なら、被保険者氏名の右側に「○○ △△ 3-17」と書く形です。

氏名の横に通番を書くよう求められている以上、番号を消すときに氏名まで黒くしてしまうと、どの技術職員の通知書なのかが分からなくなります。

通知書が電子データで届いている場合

日本年金機構は、届書の処理の結果を知らせる決定通知書を、電子データで受け取れるようにしています。その一覧には「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」と「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」が含まれ、「電子データで受け取る場合、紙の通知書の送付は行いません。」と書かれています。紙の通知書が手元に無い事業所では、電子データの通知書から写しを作ることになります。

消す番号: 被保険者整理番号と基礎年金番号

北陸地方整備局の案内

北陸地方整備局の案内「標準報酬決定通知書のマスキングについて(経営事項審査用)」は、冒頭の枠の中で次のように書いています。

「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書等の写しを提出する際は、①被保険者整理番号 ②基礎年金番号 にマスキングをお願いします。」

この案内のファイルの作成日は令和 4 年 1 月ですが、令和 8 年 7 月 1 日以降の申請に適用する提出書類一覧表から、今もリンクされています。北陸地方整備局 建政部の「建設業情報」のページでも「標準報酬決定通知書のマスキングについて(経営事項審査用)」として掲載が続いています。

マスキング例で黒くなっている欄

案内には 2 つのマスキング例が載っています。

  • 被保険者標準報酬決定通知書:何人分も並ぶ表の左端の「被保険者整理番号」の欄が、全員分、黒く塗られています。氏名・生年月日・標準報酬月額の欄は塗られていません。
  • 資格取得確認および標準報酬決定通知書:「被保険者整理番号」の欄と、「基礎年金番号」の欄が黒く塗られています。氏名の欄は塗られていません。

通知書の種類によって、基礎年金番号の欄がある様式と無い様式があります。手元の写しのどこに番号があるかを、1 枚ずつ確かめてください。

見落としやすい所

  • 表の全部の行:整理番号は 1 行に 1 つあります。何人分も並ぶ通知書では、途中の行の消し忘れが起きやすくなります
  • 2 ページ目以降:被保険者が多い事業所では、通知書が何ページにもわたります

なぜこの番号を消すのか

健康保険の番号の「告知要求制限」

北陸地方整備局の案内は、マスキングを求める背景として、健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第 9 号)で「告知要求制限」の規定が設けられたことを挙げています。案内の言葉では、「告知要求制限の規定は令和2年10月1日から施行され、同日以降、原則として、本人確認等を目的として被保険者等記号・番号等の告知を求めることが禁止されます。」とあります。

今の健康保険法では、第 194 条の 2(見出しは「被保険者等記号・番号等の利用制限等」)がこの規定です。

基礎年金番号にも利用の制限がある

基礎年金番号については、国民年金法 第 108 条の 4 が「基礎年金番号の利用制限等」という見出しで定めを置いています。警察庁の犯罪収益対策室(JAFIC)の資料「犯罪収益移転防止法の概要」(令和 8 年 8 月 7 日時点)も、「マイナンバー(個人番号)、基礎年金番号、被保険者記号・番号等の収集等をすること又は告知を求めることは他法令により禁止されています。」と書いています。

JAFIC の資料は、本人確認書類として国民年金手帳などの写しを確認記録に添付する場面について、「当該写しの番号等部分を復元できない程度にマスキングを施した上で当該写しを確認記録に添付するようにしてください。」と案内しています。経審とは別の手続きですが、番号の部分を復元できない程度に消す、という考え方は同じです。

自社の手続きで、どの番号をどこまで消す必要があるかの判断は、申請先の窓口の案内を確かめ、必要に応じて専門家に確認してください。

出す先によって消す範囲が違う

群馬県の案内

群馬県の「健康保険被保険者証の新規発行廃止に伴う確認書類の変更について(建設業許可・経営事項審査)」(更新日 2025 年 2 月 7 日)は、次のように書いています。

「個人情報保護の観点から、被保険者標準報酬決定通知書及び住民税特別徴収税額通知書の写しについては、以下の項目を黒塗りやマスキングテープ等によりマスキング処理を施した上で提出してください。」

  • 「被保険者標準報酬決定通知書(写):被保険者整理番号」
  • 「住民税特別徴収税額通知書(電子による通知のみ):個人番号(マイナンバー)」

さらに、「個人番号がマスキング処理されていない場合、確認書類として取り扱うことができないため、即時廃棄させていただきます。」とも書いています。

群馬県のページでは、経審の申請で法人が出す書類として「被保険者標準報酬決定通知書の写し(2年分)」が挙がっています。また、住民税特別徴収税額通知書を出す技術職員が審査基準日時点で満 35 歳未満の場合は、生年月日が確かめられる資料として、マイナンバーカードは「必ず表面のみ」を出すよう書いています。

一般化せず、申請先の手引きを確かめる

北陸地方整備局は被保険者整理番号と基礎年金番号の 2 つを、群馬県の案内は標準報酬決定通知書について被保険者整理番号を挙げ、住民税特別徴収税額通知書のマイナンバーにも触れています。このように、窓口によって書き方が違います。

申請先(地方整備局や都道府県)の最新の手引きや提出書類一覧で、どの書類のどの番号を消すかを確かめてください。分からないときは、作業の前に窓口に問い合わせるのが確実です。

PDF で出すとき・紙で塗るとき

黒い四角を重ねただけにしない

パソコンで作られた PDF は、文字を選んでコピーできることがよくあります。こうした PDF に注釈や図形で黒い四角を重ねただけだと、下の文字はファイルの中に残っています。黒い四角の上から文字を選んでコピーすると、消したはずの番号が読めてしまいます。

PDF で消すときは、下の文字ごと消す(焼き込み)方式を使います。手順は PDF を黒塗り(墨消し)する正しい方法 に、失敗の型は 黒塗りが「見える」「剥がせる」原因と、渡す前の確かめ方 にまとめています。

紙に塗ってからスキャン・コピーするとき

紙の通知書に黒塗りやマスキングテープをしてから写しを取る方法もあります。このときは、塗りが薄いと下の数字が透けて読めることがあります。写しを拡大して、番号が読めないことを確かめてください。原本の通知書そのものには手を加えず、写しの側で作業します。

出す前に確かめる

出す PDF は、黒い四角の下に文字が残っていないか、見えない文字や作成者などの文書情報が残っていないかを、剥がしテスト(無料)で調べられます。あわせて、氏名と書き込んだ通番が読めることも目で確かめます。消しすぎると、審査で確かめる事項まで読めなくなります。

Fuseji の使いどころ

Fuseji(伏字)は、日本語の PDF と画像から、保険証の記号・番号、マイナンバー、基礎年金番号、氏名・住所・生年月日などを候補として示し、選んだ部分を下の文字ごと焼き込むアプリです。候補は右の一覧で消す・残すを選べるので、「番号は消し、氏名は残す」という選び分けを、画面で確かめながら行えます。整理番号の列のように決まった形の無い部分は、ページの上でドラッグして囲んで消せます。書き出した直後に、消した語が残っていないかを自動で確かめます。原本は変更せず、いつも別名で書き出します。

検出は「候補の提示」で、漏れがないことを保証するものではありません。最終的な確認は画面で行ってください。マイナンバーや基礎年金番号の載った書類向けの説明は マイナンバーを扱う方へ、価格は 価格 にあります。無料版でも検出・確認・書き出し・剥がしテストが使えます(書き出したファイルに透かしが入ります)。

手順のまとめ

  1. 申請先の案内を確かめる:申請先(地方整備局や都道府県)の最新の手引きや提出書類一覧を開き、消す番号を確かめる
  2. 出す通知書を選ぶ:技術職員名簿の人が載った通知書を、申請先が求める範囲でそろえる
  3. 原本は残す:紙の通知書や元のデータには手を加えず、写しを作ってから消す
  4. 番号の位置を確かめる:被保険者整理番号は全部の行、基礎年金番号は欄がある様式で。2 ページ目以降も見る
  5. 下の文字ごと消す:PDF なら焼き込み方式で。紙なら塗りが透けないことを確かめてから写しを取る
  6. 残すものを残す:氏名は消さず、申請先の求めに応じて氏名の横に技術職員名簿の通番を書く
  7. ほかの書類の番号も見る:住民税特別徴収税額通知書のマイナンバーなど、一緒に出す書類の扱いも申請先の案内で確かめる
  8. 出す前に確かめる:剥がしテストで残りが無いかを調べ、消しすぎていないかも目で見る

このページは、参考に挙げた地方整備局・県・警察庁の資料と法令の要点を整理したものです。どの書類のどの番号を消すかは、申請先の案内を確かめ、必要に応じて窓口や専門家に確認してください。

参考