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iPhone・iPad で PDF を黒塗りして送る前に — マークアップで塗った下の文字の確かめ方

先に結論

メールやメッセージで届いた PDF を、iPhone や iPad で開いて、一部を黒塗りしてから送り返したい。申込書の控えに書いた口座番号を隠したい、家族の書類の一部だけを見せたい、といった場面です。

iPhone・iPad には、PDF に図形やペンで書き込む「マークアップ」の道具があります。黒い四角を置いたり、黒いペンで塗ったりすれば、見た目は隠れます。ただし、押さえておきたいことがあります。

  • 見た目が黒いことと、下の文字が無いことは別:文字の情報を持つ PDF の上に黒い四角を重ねただけなら、下の文字はファイルの中に残っています。マークアップで塗った PDF がどうなるかは、Apple の説明には書かれていません
  • 送る前に、そのファイルで確かめる:塗った所の文字を選べないか、隠した語で検索して見つからないかを、保存したあとの PDF で試します
  • 確かめられないときは、下の文字ごと消す道具を使う:墨消し(焼き込み)は、黒い部分の下の文字ごと消す方式です

このページは、iPhone・iPad で PDF を扱う場面に絞った説明です。紙をスキャンした PDF は スキャンした PDF の黒塗り に、スクリーンショットや写真は スクリーンショットや写真の個人情報を消すとき に、Word などで図形を重ねてから PDF にする場合は Word・Excel・PowerPoint で黒い四角を重ねて PDF にすると、下の文字が残る理由と確かめ方 にまとめています。

iPhone・iPad で PDF に書き込む道具

「プレビュー」での注釈

Apple の iPhone ユーザガイドには、「プレビュー」アプリで PDF に注釈を付ける手順が載っています。そのページの冒頭は、「PDFファイル内のテキストのコピー、ハイライト、アンダーラインの追加、取り消し線の追加が可能です。ステッカー、署名、図形、またはテキストを使ってPDFや書類に注釈を付けることもできます。」です。iPad のユーザガイドにも同じ内容のページがあります。

同じガイドによると、「プレビュー」はファイルアプリを開かなくても、PDF や画像を直接探して開けます。メールに付いてきた PDF を「プレビュー」で開いて書き込み、そのまま返信に付けて送る手順も載っています。受け取った PDF に書き込んで送り返す、という流れは、iPhone だけで済ませられるということです。

なお、ユーザガイドで「プレビュー」の項目を選べるのは、iOS 26 と iOS 27 の版です。お使いの iPhone・iPad の版で手順が違うときは、その版のユーザガイドを確かめてください。

マークアップの図形とペン

黒塗りに使われやすいのは、マークアップの図形(シェイプ)とペンです。Apple の説明では、図形は「シェイプの枠線のカラー、枠線の幅、塗りつぶしのカラーと不透明度を調整する」ことができます。ペン・マーカー・鉛筆の線は、太さと色のほか、不透明度も「選択した描画ツールをタップしてから、スライダをドラッグします」という操作で変えられます。

つまり、黒い四角の塗りつぶしの色も、ペンの濃さも、自分で選ぶものです。この点は 塗るときの注意 でもう一度触れます。

黒く見えることと、文字が無いことは別

PDF は、文字と図形を別々に持てる

パソコンで作った PDF などは、ページの見た目とは別に「文字の情報」を持っていることがあります。文字を選んでコピーできたり、検索で語が見つかったりするのは、この文字の情報があるからです。

その上に黒い四角を重ねただけなら、画面では隠れて見えても、下の文字の情報はファイルの中に残っています。PDF を受け取った人が文字を選んでコピーしたり、隠した語で検索したりすると、読めてしまいます。この形の失敗が起きたときの対応は 黒塗りが剥がせた事故から学ぶこと にまとめています。

マークアップで塗った場合について、Apple の説明に書いてあること

このページで見た Apple のユーザガイドは、注釈の付け方、図形の色と不透明度の変え方、PDF の保存や書き出しの手順を説明しています。一方で、図形やペンで塗った部分の下にある文字が、保存したあとの PDF の中でどうなるかは書かれていません。

書かれていないことを「消えるはず」「残るはず」と決めつけるのは危険です。iOS の版、使ったアプリ、保存や書き出しのやり方によっても結果が変わるかもしれません。だからこそ、送る前に、送るファイルそのもので確かめることが大事です。

送る前に iPhone・iPad で確かめる

確かめるのは、塗っている途中の画面ではなく、保存したあとの PDF です。いったん閉じてから開き直して試します。

1. 塗った所の文字を選んでみる

Apple の説明では、「プレビュー」で PDF の文字を選ぶには、「テキストを選択するには、最初の単語をタッチして押さえたままにしてから、グラブポイントを移動します。」。黒く塗った所の近くの文字から選び始め、選ぶ範囲を黒い部分の上まで広げます。「コピー」してメモなどに貼り付け、隠したはずの語が出てこないかを見ます。

2. 隠した語で検索してみる

「プレビュー」には PDF の中の文字を検索する機能があり、Apple の説明では「語句を入力すると、その語句に正確に一致するものが検索されます。」。隠した名前や番号の一部を入れて、見つかるかを試します。見つかったら、その語はまだファイルの中に文字として残っています。

3. ファイルの情報を見る

同じガイドによると、「プレビュー」では「作成日、ファイル名、サイズなど、PDF書類や画像に関する情報を取得できます。」。ファイル名に人の名前が入っていないかも、送る前に見ておきます。

手で試すだけでは見落とすもの

選ぶ・検索するは、だれでもすぐにできる確かめ方です。ただ、見えない文字や、注釈として重ねただけの黒塗り、作成者などの文書情報は、手で試すだけでは見落とすことがあります。剥がしテスト(無料)は、黒い四角の下の文字・見えない文字・注釈で重ねただけの黒塗り・文書情報などをまとめて調べます。アプリを入れる前なら、ブラウザで剥がしテスト も使えます(PDF はページの外に送りません。画像になっているページの中の文字は、ブラウザ版では調べていません)。

塗るとき・保存するときの注意

塗りつぶしと不透明度

マークアップの図形には枠線と塗りつぶしがあり、それぞれ色を選べます。黒塗りに使うなら、塗りつぶしの色を黒にして、不透明度も下が透けない設定にします。ペンで塗るときも、半透明のマーカーや薄い不透明度では、画面を明るくしたときに下の文字が透けることがあります。どちらも、塗ったあとに拡大して確かめます。

ハイライトは隠す道具ではない

「プレビュー」のハイライト・アンダーライン・取り消し線は、Apple の説明では、文字を選んでから付ける注釈です。文字を隠す道具としては説明されていません。黒っぽい色のハイライトを選んでも、隠したことにはならないと考えてください。

元のファイルを残しておく

Apple の説明では、「プレビュー」はファイル名の横のボタンから「複製」を作れます。塗る前に複製を作っておけば、塗り方を間違えたときに元からやり直せます。送るのは複製のほう、と決めておくと取り違えも減ります。

スキャンで作った PDF と「テキストを埋め込む」

iPhone・iPad で紙の書類をスキャンして PDF にすることもできます。iPad のユーザガイドには、「スキャンした書類を検索できるPDFとして保存する前に、切り取り、回転、色の調整が可能です。」とあります。また、iPhone の「プレビュー」で PDF を書き出すときの設定には、「オンにすると、画像でOCRを実行してPDFを検索可能にします。」という「テキストを埋め込む」の項目があります。

見た目は紙の写真でも、検索できる PDF なら、文字の情報が付いているということです。スキャンした PDF だから文字は無いはず、とは考えずに、上の確かめ方を同じように行います。スキャンした PDF の注意は スキャンした PDF の黒塗り にまとめています。

下の文字ごと消すには

確かめてみて、塗った所の文字が選べた・検索で見つかった、というときは、上から塗り直しても同じことが起きます。元のファイルから、下の文字ごと消す(焼き込み)方式でやり直します。焼き込みは、黒くした部分の下にあった文字の情報を残さず、見た目と中身の両方から消す方式です。考え方は PDF を黒塗り(墨消し)する正しい方法 に、失敗の型は 黒塗りが「見える」「剥がせる」原因と、渡す前の確かめ方 にまとめています。

iPhone・iPad 版の Fuseji

Fuseji(伏字)の iPhone・iPad 版は、PDF と写真(PNG・JPEG・HEIC)を開いて、氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日・口座番号・会社名などを候補として示し、選んだ部分を文字ごと焼き込んで黒塗りするアプリです。指や Apple Pencil で、消す範囲を自分で足すこともできます。保存の前に、消した語が残っていないかを自動で検証します。よそで黒塗りされた PDF に見えない文字が残っていないかを調べる剥がしテストも入っています。

読み込み・検出・墨消し・検証は、すべて iPhone・iPad の中で行い、書類の中身や見つけた語を外に送ることはありません。自動で見つけるのは候補なので、漏れや誤りが出ることがあります。最後はご自身で確かめてから保存してください。

App Store から無料で入れられます。無料版では、保存した PDF・画像に透かしが入ります。透かしなしで保存するには、アプリの中で買い切り(3,980 円)です。パソコン版は ダウンロード から入れられます。

手順のまとめ

  1. 元のファイルを残す:塗る前に「複製」を作り、塗るのは複製のほうにする
  2. 塗る:図形なら塗りつぶしを黒・不透明にする。ペンなら濃く、文字からはみ出すくらいに塗る。ハイライトは使わない
  3. 保存して開き直す:塗っている途中の画面ではなく、保存した PDF で確かめる
  4. 文字を選ぶ・検索する:塗った所の文字が選べないか、隠した語で検索して見つからないかを試す。スキャンした PDF でも同じように試す
  5. ファイル名と情報を見る:ファイル名や作成者に、人の名前が入っていないか
  6. 残っていたら、焼き込みでやり直す:上から塗り直さず、元のファイルから下の文字ごと消す
  7. 迷ったら剥がしテスト:送る前に、剥がしテスト で黒い四角の下や見えない文字を調べる

このページは、参考に挙げた Apple の公式サポートの説明をもとに、iPhone・iPad で PDF を黒塗りするときの確かめ方を整理したものです。手順や画面は iOS・iPadOS の版によって変わることがあるので、お使いの版の説明を確かめてください。何を消すべきかの判断に迷うときは、書類の提出先や専門家に確認してください。価格は 価格 にあります。

参考